心筋梗塞(急性心筋梗塞を中心に)

<心筋梗塞とは・・・>

冠動脈が血の塊で詰まってしまう状態が、20分以上持続した結果、心筋細胞が死に始めた状態、または肉眼でわかるほど死んでしまった状態。詰まっている時間が長いほど、壊死する心筋の量は増えてしまうため、発症から治療開始までの時間が予後に大きな影響を及ぼします。

<心筋梗塞の症状とは・・・>

おそらく皆さんの頭に浮かぶ光景は、映画やドラマに出てくるあの光景でしょう。突然、左の胸に激痛が走り、両手で胸を押さえてうずくまる・・・

ところが、ここに大きな誤解の元があります。

実は、心筋梗塞が起こっても、女性や高齢者では半数程度の方が「胸痛」を感じません。糖尿病の方では、多くの方が胸痛を感じません。痛みを感じても、程度は人によりさまざまです。
今までの経験で、症状のうちで一番多いのは「なんだかわからないけど、こう、胸全体が押されるような、締め付けられるような、圧迫感」です。

ある人は、虫歯が痛いと勘違いして歯医者に行き、歯を3本抜いた挙句に呼吸が苦しくなったため来院、心筋梗塞であったことがわかりました。

別の人は、吐き気が強くなり、近所の診療所で「胃炎」と診断され胃薬を処方されたものの、その後に息苦しくなり救急車で当院の消化器科経由でようやく心筋梗塞と診断されました。また、左の腕のしびれ感、肩や首の重圧感や違和感を訴えることも多いです。

なぜ、このような症状になってしまうのでしょう。

実は、心臓の筋肉には痛みを感じる「知覚神経」がありません。心臓の動きを調節する「自律神経」があるだけです。心筋梗塞の時には後述のように心臓の一部が酸素不足栄養不足に陥ります。
その状態は、長時間正座をしたときの足にたとえられます。つまり、正座中に足に感じるのに似た違和感を、自律神経が脳に伝えるのです。生まれてはじめての感覚のため、脳はどこで何が起こっているのかわかりません。ただ、「非常事態」ということはわかるのです。


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