心筋梗塞の診断と治療

<心筋梗塞の診断>

では、循環器専門医はどのような手順で心筋梗塞をすばやく、正確に診断しているのでしょうか。(当院では、救急車が到着して5分以内には診断が終わっています)
診断をするには、証拠集めが必要です。(証拠もないのに犯人を捕まえたら、冤罪です


@症状:
前述のとおりで、ベテラン医師はピンときます。(10秒)
A心電図:
次のような変化が起きます。(1分)
B心エコー:
直接、超音波で動きの悪いところがわかります。(3分)
C血液検査:
白血球、ミオグロビン、トロポニンT、HFBP、CPKなどの上昇を見ます。(15〜30分)

( )内は、診断にかかる時間です。
結局、血液検査の出る前に@〜Bで診断して、カテ室に向かうことがほとんどです。正診率は95%以上です。
血液検査は、発症2時間以内では正常か、白血球数の軽度上昇しかないことがほとんどです。超急性期診断の役には立ちません。

<治療>

基本的には、詰まった冠動脈を再開通させます。
@再開通には、薬を用いて血栓を溶かす方法
A風船を用いて血管を広げる方法があります。

@薬で血栓を溶かす:t-PA製剤という、強力に血栓を溶かす薬を用います。
高齢者や、活動性の胃潰瘍などの出血病変を持っていると使えません。
また、せっかく溶けても、薬の効果が減ってくるとまた血栓ができることも多いです。
さらに、血栓がいつ溶けるかわからないため、医療関係者の監視の手薄なときに
突然心室頻拍などの不整脈が出ることもあります。
(長時間正座後にたつとビリビリしびれますが、それと同じことが心臓に起きます)
そのため、Aの治療が可能な病院で使われることは少ないのが現状です。

APTCA(経皮的冠動脈形成術)
手首、肘、足の付け根のいずれかから針をさして、直径2mm、長さ1Mのビニールの
チューブ(カテーテル)を動脈内に入れて、冠動脈の入り口にあてがいます。
ワカメや昆布などに含まれる「ヨード」を主成分とする「造影剤を流し込み、
冠動脈の血管腔をレントゲンで撮影します。目詰まりしているところを見つけたら、
冠動脈内に「ガイドワイヤー」というやわらかい紐を入れていき、病変部を通過させます。
血栓を吸引してから、バルーンで膨らませ、ステントという金属の網の筒を
血管内に密着させるように押し広げて留置します。

   ↑吸引した血栓です。目詰まりの原因です