ジェネリック医薬品についての私見


最近、新聞やらテレビやらで派手に広告をされていることから、
ジェネリック医薬品(いわゆるコピー商品)の問い合わせが増えています。
当院ではほとんど採用していません。その理由として、品質への不安があります。

17年ほど前、当時勤めていた病院で、ある日、高血圧の患者さんがやってきました。
「先生、血圧の薬飲んでるけど効かないよ」
見ると、ニフェジピンのコピー薬でした。
「ためしに、正規の薬を出してみます」
と、アダラートLという先発薬品を処方しました。
2週間後、「先生、血圧が30下がったよ。ありがとう!」
といわれました。

最近では、
@サンリズムのジェネリックで心房細動が頻発し、正規品で収まる。
AリピトールのジェネリックでLDLコレステロールが100→200に。
Bパナルジンのジェネリックでステント内血栓症で心筋梗塞に。
C正規品では副作用がなかったのに、ジェネリック変更で発疹や下痢が(経験多数)
D高血圧のジェネリックに発がん性物質が混入していて自主回収!(2018・2019年)
  ※あすか製薬(東京)は20187月6日、2017年まで製造していた高血圧症治療剤「バルサルタン錠『AA』」の
   4製品を自主回収すると発表した。薬の原材料に、発がん性があるとされる物質「N―ニトロソジメチルアミン」が
   混入しているとして、欧州で7月上旬から自主回収が始まったため。

  
ファイザーは2019年2月8日、高血圧症治療薬アムバロ配合錠「ファイザー」(バルサルタン/アムロジピンベシル酸塩)の
   バルサルタン原薬から厚労省の定めた許容限度値を上回る発がん性物質を検出したため、
   この原薬を用いて製造した同配合錠の5ロットの自主回収に着手した発表した。
   原薬は米マイランのインド工場で製造されたもので、検出されたのは、
   N−ニトロソジエチルアミン(NDEA)とN−ニトロソジメチルアミン(NDMA)。


などなど、枚挙にいとまがありません。
ジェネリックの処方は患者さんの命を危険にさらしているのです。

新しい薬を開発できるメーカーは、不純物や光学異性体の除去の高度な技術も
持っています。そのうえで、厳しい臨床試験を潜り抜けて10年の期間を経て
安全性を確認してから販売しています。
コピー商品であるジェネリック医薬品は、製品特許がきれてから、
(製造特許はまだ開放されていない段階で)
「見よう見まね」で作り、その品質を検査する機関はありません。
不純物や光学異性体が混じっていても、「同じものを作りました」
と申請すれば販売できます。
しかも、安く作るために原料をアジアの隣国から輸入しているのです。
最初の(厚労省申請時の)原料がまともでも、2回目以降の(大量生産時)原料が
「本来の濃度がない、または全く含まれていない」ケースや、
「発癌性物質が混入していても知らんぷり」のケースが続出しているのです。

以前、カネミ油事件というものがありました。
健康に良いと思って使った油にPCBが混入して多くの方がなくなりました。
2〜3日だけ飲む薬なら、いいかげんなジェネリックでも良いでしょうが、
何ヶ月も何年も飲み続けるお薬です。
処方する立場としては、正規の安全性が証明された薬を使いたいのです。
最近は、正規品のメーカーが「オーソライズド ジェネリック」を販売しているケースがあり、
これは正規品と同じものとされていますので、これがある時はこれを使っています。

<文責:山本雅史>