閉塞性動脈硬化症

歩いているうちに、片足が重くなったり、太ももやふくらはぎが痛くなる。
立ち止まると1分ほどで症状は治まるが、また歩くと症状が出る。
これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。

そんな悩みを抱えている方は、足の血管が詰まりかかっているかもしれません。

    
放っておくと、最終的には足が腐ってしまい、切断しなければならなくなることもあります。
 
(よく似た症状を呈する疾患に、腰部脊柱管狭窄症があります。
こちらは、しゃがむと楽になるが、立ち止まっただけでは症状はなかなか取れないので区別できます。)
また、突然血圧が上がってきた方の中には、腎動脈が狭くなった方がいます。
放っておけば、片方の腎臓は萎縮して機能しなくなっていきます。
    
<原因>なんと言ってもタバコが圧倒的に危険です。
 
その他、高血圧・糖尿病・高脂血症が危険因子です。

<検査>上肢と下肢の血圧の比(ABI)を測ります。
また、3DCTや血管造影検査で狭窄部位を探していきます。
   
この方は、上肢の血圧が164で右下肢の血圧が102ですので、ABIは0.62となります。
ABIが0.7以下では、間欠性跛行などの症状が出ます。

※腎動脈狭窄は、腎動脈エコーにより簡便で安全に評価出来ます。

<治療>まずは、禁煙です。

以下に述べるような血管治療を行っても、再発や悪化の防止をしなければ意味がありません。
治療のできない細かい血管がどんどんつぶれていきます。


@薬物治療
  アンプラーグやプレタール、エパデール
を中心に、複数の薬を工夫して使用。
A血管内治療(カテーテル治療)
  当科では、バルーンやステントの治療を積極的に行っております。
  腸骨動脈や浅大腿動脈の完全閉塞病変や、膝下の動脈も治療しています。
  腎動脈ステント治療も数多く手掛けております。
Bバイパス手術(血管外科医による)
C細胞移植・特殊薬物&遺伝子治療
  必要があれば、千葉大学(館野医師)に紹介しております。

近年では、@とAの組み合わせで長期予後は非常に良好です。
腐敗してからでは処置はできません(切断しかありません)ので、
症状に気が付いた時点で早めにいらしてください。

文責:君津中央病院循環器科 山本雅史  2019.2.20改訂